Quantcast
Channel: 森村誠一の写真俳句のすすめ
Browsing latest articles
Browse All 12 View Live

Image may be NSFW.
Clik here to view.

写真俳句歳時記 8月

八月は夏の後半期である。祖霊を迎える盆を過ぎると、空がめっきりと高くなる。梅雨が残る七月に比べて、八月は連日、真夏日がつづき、夜は寝苦しい。毎日が激しく燃焼しているようであるが、燃え尽きていく夏の体質を、日増しに高くなっていく空が予言しているようだ。見知らぬ異性と踊り明かした盆踊りの輪が八方に散って行くとき、恋の終わりを予感する。行きずりの恋は無責任であるだけに、美しい幻影のようである。盆踊りで知り...

View Article



Image may be NSFW.
Clik here to view.

写真俳句歳時記 9月

九月に入ると、朝夕はめっきり涼しくなり、天が高くなる。台風が通過する度に空の色が深くなる。だが、残暑は厳しく、蝉時雨に衰えは見られない。八月よりも空気が澄んでいるので、油断をしていると真っ黒に陽灼けしてしまう。八月はダイナミックで毎日が奔放な宴のようであるが、九月に入ると、女性の中絶が増えるという。夏の恋のツケを女性が一方的にまわされるのは不公平であるが、他の季節は守りの堅い女性も、夏の宴のうちに自...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

写真俳句歳時記 10月

まだ梅雨が残り、夏の暑熱が感じられない時期に、海開き、山開きを迎える七月に対して、八月の末は超真夏日につづき、猛烈な残暑がはびこっているうちに、海、山を閉じてしまう。季節とライフスタイルがうまく歩調が合っていない感じであるが、夏を無理やりに暦に合わせている。だが、台風を何度か重ねるごとに、日に日に空は高くなっていく。日本列島のように四季のメリハリが強い環境は、俳句や写真の温床ともいえる。十月の初旬ま...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

写真俳句歳時記 11月

異常な猛暑つづきの夏の影響が長く尾を引き、九月どころか、十月にすら残暑が未練がましくこびりついていたが、十一月になると、さすがに秋構えも本格的となり、空が深くなる。十一月は一年のうちで二月と並び、最も地味な月ではないだろうか。山野を染めた紅葉も退潮の一途をたどり、見るべき年間行事も少ない。なにかと気忙しい十二月に比べて、年が替わるまであと一ヵ月をはさむ十一月は、忘年会にも早すぎるし、晩秋をゆっくりと...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

写真俳句歳時記 12月

十二月、いよいよ泣いても笑っても、今年は一ヵ月しかない。仕事納め、除夜の鐘、初日の出、初詣、一年を年末年始の行事によって区切る。世界各国、各地の緯度や暦によって、また宗教、時代、民族、習慣などのちがいによって、年末年始の区切り方は異なるが、月や年を区切らないと、ただのっぺらぼうな時間の流れになって、社会生活や歴史の記録ができなくなる。特に、一年ごとの区切りは人生のリセットという意味で、暮らしの知恵が...

View Article


Image may be NSFW.
Clik here to view.

写真俳句歳時記 1月

逃げても逃げても、人間は時間から逃げきれない。空間は自由に移動できても、時間を自分の意思のままに移動することは絶対に不可能である。人間はすべて時間の囚人であり、時間というはるかな過去から限りもない未来へとつづく巨大な檻の中で、宇宙の年齢に比べれば、一瞬のまばたきのような人生を生きている。過去を振り返るときは、いまがいちばん老いており、未来を展望するときは、年齢差にかかわらず、いまがいちばん若い。そん...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

写真俳句歳時記 2月

一年のうち二月は、十一月と並んで割りの悪い月である。行事が盛りだくさんな一月や三月に比べて、二月はせいぜい節分や初午(はつうま)ぐらいしかない。財布も年末・年始の出費で薄くなっている。梅が春の先兵として咲き始め、気品ある香りを精一杯漂わせているが、まだ冬将軍は厳然と居座り、北国ならずとも大雪に見舞われることがある。日本列島、冷凍庫に閉じ込められたような寒い日がつづくが、二月の終わりごろになると、ふと...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

写真俳句歳時記 3月

三月に入るとぐっと春めく。冬将軍は時どき威勢を盛り返すが、いまや退勢覆うべくもない。南方から桜前線がひたひたと北上し、梅を先鋒に、沈丁花が香り立ち、ヒヤシンスやシクラメンが次々に花弁を開き、距離をおいた風景に草が青む。三月も半ばをすぎると、すでに春の風景となり、夜の底が濃艶になるようである。木蓮の莟(つぼみ)が日に日に脹らみ、これをついばみに野鳥が集まって来る。日中吹いた強い風も夜にはおさまり、月影...

View Article


Image may be NSFW.
Clik here to view.

写真俳句歳時記 4月

四月の暦を開けば、春は全開である。桜前線が北上し、どんな平凡な街角や野山も桜に彩られて、改めて見直される。春光の弾む中、豪勢な桜吹雪を追うのもよいが、月影が霞む闇の底に、自らが発光するかのようにしんとうずくまっている夜桜は、妖しい艶色を秘めて、人を誘っているように見える。可惜夜(あたらよ)(眠るには惜しい夜)とは、こんな夜をいうのであろうか。だが、四月は独り者にとっては残酷な季節でもある。独り静かに...

View Article


Image may be NSFW.
Clik here to view.

写真俳句歳時記 5月

五月は一年のうちで最も溌剌とした季節である。だが、あまり溌剌としすぎていて、四月の春愁から治りきらぬ間に、五月病へとつづきやすい。民族大移動のようなゴールデンウィークは、独り者を残して、カップル、グループ、家族などが楽しい行楽地へ赴く。都会はがら空きになって、寂しい独り者が置き去りにされる。だが、彼らにチャンスがないわけではない。置き去りにされた者同士が、同病相い哀れむように寄り合って、新たな恋が生...

View Article
Browsing latest articles
Browse All 12 View Live




Latest Images